信楽焼の魅力!たぬきや器で有名だけど、なぜ?

こんにちは!TANABOTA(タナボタ)の、グミです。
今日はたぬきの置物や器で有名な「信楽焼(しがらきやき)」について書いてみようと思います。
聞いたことはあるけれど、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。歴史があり、今もなお食卓などで愛されている信楽焼の魅力に迫ります!
信楽焼の始まり


まずは歴史を知る!信楽焼は日本人に長年愛され続けている
信楽焼は、日本六古窯(縄文から続く技術を継承した、日本を代表するやきもの産地)のひとつ。信楽産の土を生かした、登り窯・穴窯焼成による無釉・焼き締めの陶器のことをいいます。鎌倉時代中期の「天平時代(てんぴょうじだい)」に誕生したといわれており、1976年に国の伝統工芸品として指定されています。高い耐火性や独特な色や模様が好まれ、置物や器として使われ長年愛され続けてきました。
信楽焼といえばたぬき…なぜたぬきなの?

実際より信楽焼のたぬきはかわいらしくデフォルメされている?
私たちのイメージする愛嬌のある表情のたぬきは、明治30年代に陶芸家・藤原銕造(ふじわらてつぞう)が作ったものが最初と言われています。初代藤原銕造氏は、ある月夜の晩、腹づつみに興じるたぬきを見ました。親方から「何人に一人しか聞けぬ狸の腹づつみだ」と聞き、その姿を焼物で再現したいと思ったのがたぬき作りのきっかけだそう。自身で子たぬきを飼って観察し、あのような愛らしいたぬきが誕生しました。
たぬきは縁起物!「八相縁起(はっそうえんぎ)」と呼ばれる縁起あり


たぬきは「た(他)」「ぬき(抜く)」=「他を抜く」という意味や、「太っ腹(腹鼓)」に通じることから、縁起物として店先に置かれるようになりました。信楽焼たぬきの置物は「八相縁起(はっそうえんぎ)」と呼ばれる、8つの縁起の意味を持っています。
【笠】思わざる悪事災難避けるため用心常に身を守る笠
(=災難や悪事を避け、身を守ってくれる)
【顔】世は広く互いに愛想よく暮らし誠をもって努めはげまん
(=いつも笑顔でいることで商売繁盛につながる)
【目】何事も前後左右に気を配り正しく見つむる事忘れめ
(=大きな目で周囲に気を配り、正しい判断をする)
【通帖】世渡りはまず信用が第一ぞ活動常に四通八達
(=お客様との信頼関係を上手く築けるように)
【徳利】恵まれて飲食のみに事足りて徳はひそかに我身につけん
(=人徳を身につけ、飲食に困らないように)
【腹】物事は常に落ちつきさりながら決断力の大肚をもて
(=冷静さと大胆な決断力を持つ)
【金袋】金銭の宝は自由自在なる運用をなせ運用をなせ
(=金運に恵まれるように)
【尾】何事も終わりは大きくしっかりと身を立てるこそ真の幸福
(=終わりよければ全てよし。何事もしっかりした終わり方を!)
実際に信楽に行った際には、たぬきのサイズや多さに驚きました…!

超巨大な信楽焼たぬき(マスクをしていました)
本当に地元で深く愛されているようで、こんな大きなたぬきや、たくさんのたぬきをびっしり店先に並べているところをよく見かけました。よくみると一つ一つたぬきの表情が違うので、見ていて楽しかったです。ちなみに今のように広く「信楽たぬき」が知られるようになったのは、昭和天皇が行幸された際に、信楽たぬきを並べて奉迎し、注目されたことがきっかけなんだそう。

足元にもびっしりチビたぬきがいました
信楽駅付近の公衆電話を取り込んだようなたぬきの足元にも、びーっしり小さいたぬきが!あまりの多さに驚きました(笑)
信楽焼のご利益

ご利益たっぷりの信楽焼!
そんなこんなで信楽焼のたぬきは「金運」「開運」「勝負運」「魔除け」「商売繁盛」など沢山のご利益があると言われている焼物です。でも、実はたぬき以外にもカエルやふくろうなどのモチーフの信楽焼もあるんですよ。
信楽焼のカエル、ふくろう


信楽焼はたぬきだけじゃない!カエルやふくろうも
カエルには「幸せがかえる」「お金がかえる」「無事に帰る」なども意味が、ふくろうは「福来郎=福が来る」「不苦労=苦労しない」などの縁起の良い意味があります。
信楽焼はどこの地域?

滋賀県甲賀市の信楽駅(駅にもたぬきが!)
信楽焼は滋賀県甲賀市に窯元があります。この地域は、昔に琵琶湖の原型となる古代湖があり、その恵みでやきものに適した粘土質が出来上がりました。2019年には朝ドラ「スカーレット」の舞台にもなり、注目を浴びました。
信楽焼の魅力

素朴なのに自然の力強さを感じることができる「信楽焼」
「信楽焼」の最大の魅力は、滋賀県甲賀市信楽の良質な陶土を使い、土の質感や風合いをそのまま活かした表情にあると思います。色つやを出す釉薬を使用せず、焼き締めることで風合いを出しているので、窯の温度や焚き方により、ひとつひとつ色や模様が変化します。全く同じものがこの世にない、手作りならではの魅力ですよね。
信楽焼の3大焼成「火色」「ビードロ釉」「蜻蛉(かげろう)の目」
手作りならではの偶然できる風合いには、名前もついており親しまれています。ここでは有名な3つをご紹介!
【火色】炎が器にあたると土が反応し、赤っぽく発色した色のこと。
【ビードロ釉】陶器に灰が降りかかってできる自然降灰釉。素地中の長石とともに溶けて、ガラス質の釉となって流れ出したもの。
【蜻蛉(かげろう)の目】自然釉(ビードロ)が筋状に流れた先で、丸く盛り上がった釉溜まりのこと。
信楽焼の器の特徴

頑丈で力強い信楽焼の器
信楽焼の器は、耐火性が高いことが特徴です。また陶器は「熱伝導率が低い」という特徴があるため、熱しにくく冷めにくい性質を持っています。ガラスのコップに熱湯を注いだとき熱くて持てないことが多いけれど、陶器の場合は大丈夫…というのは、そういうことですね!生活の中では使いやすいという特徴があります。
重厚感のある、独特な表情の信楽焼の器

この手作り感に魅了される人、多数!
信楽焼は粗めの土質を使ってい高温で焼き締めているため、重厚感があります。シンプルで温かみのあるデザインは、お料理を選ばず何にでも合わせやすいと好評のようです。
▼信楽焼のカップはこちら
▼信楽焼の茶碗はこちら
▼信楽焼の平皿はこちら
おわりに
いかがでしたか?信楽焼は歴史が深く、長年愛されてきたもの。最近は信楽焼の器をよくお店で見かけますが、やっぱり愛されているだけあり魅力たっぷりですね。よく信楽焼って言葉はよく聞くけど、あまりよく知らなかった…という方に少しでも魅力が伝われば嬉しいです!もし滋賀県に出かける際は、ぜひ信楽駅の巨大たぬき&大量たぬきを見てみてください。圧巻です!